小説やアニメの舞台になった京都の真古館というカフェを訪れました。
小さな洋館といっても、煌びやかな西洋建築というわけではない。素朴な木造建築で、まるで森の中にひっそりと佇んでいそうな雰囲気だ。
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年、p97より引用
場所は吉田山の東側の麓、この日は谷崎潤一郎のお墓がある法然院から徒歩でむかいました。
「京都・法然院」谷崎潤一郎の墓は紅しだれの下にあります法然院から哲学の道を横切り15分、東伏見宮家の別邸であっ吉田山荘にカフェ真古館はあります。
吉田山山荘ではない
Google マップを見ながら到着したのは学生寮のような建物、華族の邸には見えません。表札は「吉田山山荘」
Google に「吉田山山荘」と間違えて入力していました。
吉田山には「吉田山荘」と「吉田山山荘」があります。カフェ真古館は「吉田山荘」です。「吉田山山荘」は賃貸住宅なので間違えないよう注意してください。
吉田山荘
あらためて検索すると歩いて3分のところに吉田山荘はありました。
吉田山荘は東伏見宮家の別邸として1932年(昭和7年)に建造、昭和天皇の義弟である東伏見宮邦英王はこの邸から京都帝国大学へ通学しました。
1947年(昭和22年)GHQの指令により東伏見宮家は皇籍を離脱、1948年(昭和23年)から料理旅館になりました。
建物は国の登録有形文化財に認定されています。
堂々たる構えの唐門、宮大工棟梁で文化功労者の西岡常一が建造しました。
門をくぐると坂道
坂道の左側に優美な日本家屋があらわれます。
和と洋が融和した建築様式です。
カフェ真古館
山荘を通り過ぎて坂を登り切ったところに山小屋風の建物があります。
ここがカフェ真古館です。
京都寺町三条のホームズ
店内にカフェ真古館を舞台にした小説が紹介されていました。
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年
主人公のホームズこと家頭清貴は京都市内のカフェをコンプリートしているカフェ好きな青年
そのホームズが真古館は「京都でトップ5に入るカフェ」とすすめています。
宮家時代に建てられた外観をそのままにした隠れ家のような小さな洋館で、ここもとても素敵なんですよ。僕の中では、五指に入るおすすめのカフェですね。
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年、p93より引用
この建物は東伏見宮家別邸時代はガレージとして使われていました。
入口は「真古館」と描かれたすりガラスの扉
店内の様子
店に入ると左側に木製の階段があります。
階段をのぼり2階の部屋へ、他にお客さんはいません。
黒光りする木製の床と使い込まれた木のテーブル、窓際にはランプ、室内は薄暗く幻想的な雰囲気です。
3方に大きな窓があります。東の窓からは五山送り火の「大文字」が点火される如意ヶ岳が見えます。
北は比叡山、南は町の景色
突然従業員専用の階段から店員さんが現れました。階段は隠れた場所にあります。
トレードマーク
真古館のトレードマークはコウモリ
蝙蝠という文字は中国語で「福に変わる」という意味の「変福」と同じ音、このため古代中国でコウモリは「福を呼ぶ」といわれていました。
チョコレートケーキ
カカオマスと豆腐を使用したヘルシーなケーキ
ほろ苦いビターな味でした。
ホットコーヒー
コーヒーにはこうもりビスケットが添えられています。
カリッとしたシナモン風味です。
女将が筆でしたためた和歌の短冊がコーヒーにもそえられていました。
見渡せば柳桜をこき混ぜて都ぞ春の錦なりける
素性法師『古今和歌集』56番
「見渡してみれば、柳と桜を摘み取り混ぜて、美しい模様にしたような、そうだ、この都の眺めこそが春の錦なのだった」
春の京を歌った美しい歌です。
ケーキやコーヒーの味はもちろんですが、真古館は外観、内装、雰囲気、窓からの景色すべてにおいて好みです。
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年、p94より引用
静かで落ち着いた時間を過ごせるカフェ真古館を京都に来たらぜひ訪ねてください。