小説やアニメの舞台になった京都の真古館というカフェを訪れました。
小さな洋館といっても、煌びやかな西洋建築というわけではない。素朴な木造建築で、まるで森の中にひっそりと佇んでいそうな雰囲気だ。
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年、p97より引用
場所は吉田山の東側の麓、この日は谷崎潤一郎のお墓がある法然院から徒歩でむかいました。
![法然院の参道から眺めた山門の写真です。山門を額縁にして庭の木々が見えています。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/2022/08/02d764e171b3c7490086aaa3babdc948-160x160.webp)
法然院から哲学の道を横切り15分、東伏見宮家の別邸であっ吉田山荘にカフェ真古館はあります。
吉田山山荘ではない
Google マップを見ながら到着したのは学生寮のような建物、華族の邸には見えません。表札は「吉田山山荘」
Google に「吉田山山荘」と間違えて入力していました。
吉田山には「吉田山荘」と「吉田山山荘」があります。カフェ真古館は「吉田山荘」です。「吉田山山荘」は賃貸住宅なので間違えないよう注意してください。
吉田山荘
あらためて検索すると歩いて3分のところに吉田山荘はありました。
![吉田山荘を塀の外から撮影した写真です。2階建ての木造建築です。庭には大きな松の木が植わっています。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2861-768x576-1.webp)
吉田山荘は東伏見宮家の別邸として1932年(昭和7年)に建造、昭和天皇の義弟である東伏見宮邦英王はこの邸から京都帝国大学へ通学しました。
1947年(昭和22年)GHQの指令により東伏見宮家は皇籍を離脱、1948年(昭和23年)から料理旅館になりました。
建物は国の登録有形文化財に認定されています。
![吉田山荘の門の写真です。堂々たる構えの唐門です。宮大工棟梁西岡常一が建造しました。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2898-768x576-1.webp)
堂々たる構えの唐門、宮大工棟梁で文化功労者の西岡常一が建造しました。
門をくぐると坂道
![吉田山荘の門をくぐった所から撮影した写真です。右方向に坂道が続いています。坂道の左側に日本家屋が見えます。和と洋が融和した建築様式です。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2897-768x576-1.webp)
坂道の左側に優美な日本家屋があらわれます。
![吉田山荘の本館の玄関付近の写真です。和と洋が融和した2階建ての本家屋です。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2862-768x576-2.webp)
和と洋が融和した建築様式です。
カフェ真古館
山荘を通り過ぎて坂を登り切ったところに山小屋風の建物があります。
![カフェ真古館の写真です。坂を登り切ったところにある2階建ての山小屋風の建物です。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2896-768x576-1.webp)
ここがカフェ真古館です。
京都寺町三条のホームズ
店内にカフェ真古館を舞台にした小説が紹介されていました。
![カフェ真古館に飾られている双葉文庫の望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』写真です。カフェ真古館が舞台になった小説です。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/2019031-3019-768x576-1.webp)
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年
主人公のホームズこと家頭清貴は京都市内のカフェをコンプリートしているカフェ好きな青年
そのホームズが真古館は「京都でトップ5に入るカフェ」とすすめています。
宮家時代に建てられた外観をそのままにした隠れ家のような小さな洋館で、ここもとても素敵なんですよ。僕の中では、五指に入るおすすめのカフェですね。
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年、p93より引用
この建物は東伏見宮家別邸時代はガレージとして使われていました。
![カフェ真古館の入口の扉の写真です。扉には「真古館」と描かれたすりガラスがはめられています。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2864-768x576-1.webp)
入口は「真古館」と描かれたすりガラスの扉
店内の様子
店に入ると左側に木製の階段があります。
![カフェ真古館の2階の部屋の写真です。黒光りする木製の床には使い込まれた木のテーブルと椅子が置かれています。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2868-768x576-1.webp)
階段をのぼり2階の部屋へ、他にお客さんはいません。
黒光りする木製の床と使い込まれた木のテーブル、窓際にはランプ、室内は薄暗く幻想的な雰囲気です。
![カフェ真古館の2階の部屋の写真です。室内は薄暗くて幻想的な雰囲気です。窓からは庭の木々が見えます。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2867-768x576-1.webp)
3方に大きな窓があります。東の窓からは五山送り火の「大文字」が点火される如意ヶ岳が見えます。
![カフェ真古館の2階の部屋の東側窓から外を眺めた写真です。五山送り火で「大文字」が点火される如意ヶ岳が見えています。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2878-768x576-1.webp)
北は比叡山、南は町の景色
突然従業員専用の階段から店員さんが現れました。階段は隠れた場所にあります。
トレードマーク
真古館のトレードマークはコウモリ
![真古館のトレードマークであるコウモリのイラストです。口元が笑っているようにみえる可愛らしいコウモリです。蝙蝠という文字は中国語で「福に変わる」という意味の「変福」と同じ音なので、古代中国でコウモリは「福を呼ぶ」といわれていました。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2883-768x576-1.webp)
蝙蝠という文字は中国語で「福に変わる」という意味の「変福」と同じ音、このため古代中国でコウモリは「福を呼ぶ」といわれていました。
チョコレートケーキ
カカオマスと豆腐を使用したヘルシーなケーキ
![注文したチョコレートケーキの写真です。この葉の形をした青色の皿に盛られています。皿の脇には女将が筆でしたためた和歌の短冊がそえられています。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2892-768x576-1.webp)
ほろ苦いビターな味でした。
ホットコーヒー
コーヒーにはこうもりビスケットが添えられています。
カリッとしたシナモン風味です。
![ホットコーヒーの写真です。コーヒーにはこうもりの形をしたビスケットが添えられています。コーヒーにも女将が筆でしたためた和歌の短冊がそえられています。「見渡せば柳桜をこき混ぜて都ぞ春の錦なりける」と墨で書かれています。](https://careerchange-diary.com/wp-content/uploads/20190331-2884-768x576-1.webp)
女将が筆でしたためた和歌の短冊がコーヒーにもそえられていました。
見渡せば柳桜をこき混ぜて都ぞ春の錦なりける
素性法師『古今和歌集』56番
「見渡してみれば、柳と桜を摘み取り混ぜて、美しい模様にしたような、そうだ、この都の眺めこそが春の錦なのだった」
春の京を歌った美しい歌です。
ケーキやコーヒーの味はもちろんですが、真古館は外観、内装、雰囲気、窓からの景色すべてにおいて好みです。
望月麻衣『ミステリアスなお茶会 京都寺町三条のホームズ(4)』双葉文庫、2016年、p94より引用
静かで落ち着いた時間を過ごせるカフェ真古館を京都に来たらぜひ訪ねてください。