御徒町にある吉池の鮮魚売り場で「ボラの卵」が売られていました。
兵庫県姫路産のぼら子、「からすみは家でも作れるんだよ」と隣のお客さんが教えてくれました。
早速「ボラの卵」を買って自家製「からすみ」を作ってみました。
からすみは日本三代珍味
「越前のうに」「三河のこのわた」とともに「備前のからすみ」は日本三代珍味です。
安土桃山時代に明から日本へ伝来、当時はサワラの卵巣を原料にしました。
漢字では「唐墨」、形と色が中国の墨に似ていたことに由来します。
ボラの卵を処理する
からすみ作り方の基本は「ボラの卵」の「血抜き」→「塩漬け」→「塩抜き」→「天日干し」
インターネットで様々な作り方が紹介されています。今回はこちらブログ(今期もボラ卵カラスミ作りました)を参考にしました。作業行程が「ボラの卵」の重量変化で示されているので初心者にも親切な作り方です。
血を抜く
塩水の中で血液を抜きます。 血液は臭みの原因になるので細い血管も処理してください。
太い血管はデザインカッターで切開し、細い血管は針で1cm間隔に穴を開けます。さらに血管をヘラでしごくと残った血液が押し出されます。
細い血管に血液が残っていても心配はいりません。「ボラの卵」を一晩氷水に浸しておくと血管が収縮して残った血液が排出されます。
翌朝には細い血管も見えなくなっていました。血抜き後の重量は327gでした。
塩に漬ける
血液が抜けたら「ボラの卵」を塩につけます。塩の量は血抜き後の「ボラの卵」の重量 ×12%
「ボラの卵」に塩をまぶし、リードペーパータオルで包みます。さらにキッチンペーパーで包んでビニール袋に入れて冷蔵庫で保管します。
水が出てきたらキッチンペーパーだけ変えます。塩漬けした日はキッチンペーパーが水びたしになるほど水が出ました。
翌日からはキッチンペーパーが湿る程度になるので1日1回で大丈夫です。キッチンペーパーが湿らなくなるまで7日かかりました。
この頃には「ボラの卵」は指で押してもくぼまなくなっています。塩漬け後の重量は262gでした。
塩を抜く
塩漬けが完了したら「ボラの卵」から塩を抜きます。塩抜きには水か日本酒を使います。先ほどのサイトを参考にして日本酒で塩抜きしました。
日本酒に漬けておくと浸透圧によって「ボラの卵」から塩が抜けて卵の中に日本酒がしみ込みます。
日本酒の量は塩漬け後の「ボラの卵」の重量 × 1.2倍
塩が抜ける量は日本酒につける時間ではなく、日本酒の量に依存します。日本酒を増やすと塩は多く抜けます。
全体が軟らかくなったら塩抜きは終了。この時の塩加減が「からすみ」の味を決めます。今回は2日間日本酒につけました。
天日で干す
塩抜きが終わったら「ボラの卵」を天日干しにします。天日にさらすと「ボラの卵」はあめ色に変わります。
塩抜きした「ボラの卵」は野菜干し用のカゴで干しました。
天気の良い日は日光に当てます。干し始めて3日ごろから乾燥が進み、表面の色があめ色に変わり光沢が出てきます。
夜は冷蔵庫の中で乾燥させました。目安は2週間、大きな卵ほど長く干します。
天気が悪い日は冷蔵庫で乾燥、キッチンペーパーに包んで冷蔵庫に保管します。
干すときに焼酎を塗るとカビよけになります。
水分は下にたまるので毎日、表と裏をひっくり返して均等に乾燥させました。
日がたつと「ボラの卵」は固くなってきます。 強く押すと少しくぼむくらいで「からすみ」の完成
固くなりすぎるとねっとり感がなくなるので要注意、天日干し後の「ボラの卵」は211gでした。重量は血抜き後から65%の重さに減少していました。
最後に房のつなぎ目についているボラの身を取り除き、薄皮をはがします。
日本酒を浸したキッチンペーパーで10分ほど包んでおくと薄皮は簡単にはがせました。
「からすみ」の表面を焼酎で殺菌、乾いたらかび防止のために表面にオリーブオイルを塗布して完成です。
熟成させる
「からすみ」は熟成させると旨みが増します。
真空容器とポンプを使って密封保存しました。
熟成をまてないので半分は厚めにスライスしてサラダ大根にのせて食べました。
ねっとりとした歯ごたえ、濃厚な味わいです。日本酒の香りが口の中に広がり、市販の「からすみ」に負けない美味しさでした。
自家製「からすみ」は手間がかかりますが簡単に作れます。「ボラの卵」を見かけたらぜひ挑戦してください。オススメします。