57歳で会社を辞めてフリーターをしている Un lapinです。
ステンレス多層構造鍋を購入しました。今回は鍋の紹介と、作家で料理研究家である丸元淑生(1934-2008)さんが教えてくれた無水調理の話をします。
自由な時間ができて料理をする機会が増えました。
独身時代に使っていたステンレス多層構造鍋をお店で見かけて衝動買いしてしまいました。
ステンレス多層構造鍋
購入したのはビタクラフトのインフィニティ 1.9Lです。30年前は3層構造でしたが9層に進化していました。
つや消しの質感に物欲を刺激されました。
ビタクラフトは1939年にアメリカで創業された会社です。ビタミン(ビタ)を逃さない、手作り(クラフト)の鍋という意味です。
次のような特徴があります。
● 無水・無油調理。
● 一台でいろいろな調理が可能。
● 耐久性、簡単な手入れ。
販売員からは「中性洗剤とお酢で洗ってから使ってください」と言われました。油分が残ったまま使うと、黄色く変色してしまうそうです。
強火で調理しないようにも注意されました。熱効率が良いので、弱火から中火で十分だそうです。
丸元淑生さん
「まるもと よしお」と読みます。
芥川賞と直木賞の候補になった作家です。1980年頃から料理研究家としての著述を始めました。
1987年に丸元淑生さんの本と出会いました。食生活を根本から変えてくれた私のバイブルです。
白い背景に緑、赤、黄色のピーマンが描かれた表紙に引かれてました。
丸元淑生『丸元淑生のクック・ブック 完全版』文藝春秋、1987年
結婚して料理をしなくなっても、この本は持ち続けていました。
一読で信者になり、当時でも1万円以上したステンレス鍋をすぐに購入しました。
当時、築地に樽に入ったタラコや生きたタコを探しに行ったり、明治屋でギーという油を見つけて喜んだりしたことが懐かしく思い出しました。
手に入れにくい食材や器具、手間などの関係で出来ないことも多く書かれています。全てを取り入れる必要はなく、丸元淑生さんの栄養に対する考えを知るだけでも価値のある本です。
当時の私は無水調理に凝り、青梗菜やブロコッリー、アスパラガス、スナックえんどうをよく調理しました。
簡単にできる昆布の煮しめ、ストーブド・ポテト、かぶの三杯酢も繰り返し作りました。
どれも本当に美味しかったです。いつもの野菜が本来の旨みや風味をもった全く違う食べ物に変わりました。
久しぶりに読んで、とても真面目な本だと感心しました。栄養に対する思い込みが強すぎるようにも感じますが、丸元淑生さんの真摯な語り口には共感できます。
無水調理
ステンレス多層構造鍋は鍋全体に均一に熱が伝わり、重量のある蓋が蒸気圧で持ち上がらないので、野菜に含まれる水分だけで調理ができます。
この鍋で加熱すると、熱が底からだけでなく、鍋全体から野菜に加わり、発生した蒸気は丸みを帯びたふたをめぐって対流状に動く。 野菜には70~95%の水分が含まれているから、水を加えなくても野菜自体の水分で十分に蒸しあがる。しかも蒸気は逃げないのだから、蒸気にとけこんだ栄養素が失われない
丸元淑生『丸元淑生のシステム料理学』筑摩書房、2013年、p236 より引用
さらに加熱時間が短いので栄養素はわずかしか破壊されません。
早速、アスパラガスとスナップえんどう、にんじんを調理してみました。
アスパラガス
アスパラガスを三つに切り分け、根本は皮をむいておきます。
丸元淑生『丸元淑生のシステム料理学』筑摩書房、2013年、p64 より引用
鍋が温まったら小さじ1杯の水を落として、穂先以外の部分を入れて蓋をします。
1分経ったら穂先を入れます。鍋を揺さぶりながら1分熱し、火を止めて余熱でさらに1分温めます。
深い緑色のアスパラガスはシャキッとした歯ざわりです。野菜の風味と甘みがあるので調味料をなしで食べられます。
スナップえんどう
洗ってスジを取ります。調理方法はアスパラガスと同じです。
深い緑、歯ざわりはシャキシャキ。マヨネーズと塩で頂きました。
にんじん
調理方法はアスパラガスと同じです。歯ごたえを残すために拍子木切りにしました。
鮮やかなオレンジ色。柔らかさの中にサクッとした歯ごたえがあります。にんじん本来の甘さを感じます。塩とこしょうで頂きました。
まとめ
ステンレス多層構造鍋を使った野菜の無水調理を紹介しました。私は丸元淑生さんの本を通じてこの調理方法を知りました。
短時間で簡単に調理できます。栄養を損なわず、他の方法では味わえない野菜の旨みと風味を感じられました。
ステンレス多層構造鍋を使った野菜の無水調理、ぜひ試してみてください。お勧めです。
「料理」の記事です。
調味料を加えなくても、美味しい。たなかれいこ「蓮根のはさみ揚げ」