コロナウイルスワクチンの接種が日本でも始まりました。テレビや新聞ではワクチンの副反応や問題点がさかんに報道されています。
インフルエンザワクチンとの違いは注射部位です。インフルエンザは皮下、コロナワクチンは筋肉内に打ちます。
「外国ではインフルエンザワクチンは筋肉に打っている」と聞きます。
筋肉注射は皮下注射より危険なのか、痛いのか?不安になるメディア報道が多いので、皮下注射と筋肉注射の違いを調べてみました。
現場は順調に進んでいます
筋肉注射と皮下注射の違い
次の3点を比較しました。
- 効果
- 副反応
- 痛み
効果と副反応
筋肉注射がすぐれています。
- 抗体産生が優れている
- 副反応が少ない
痛み
筋肉注射≒皮下注射
どちらが痛いか分かりません。
結論
ワクチン接種には筋肉注射が優れています。このため欧米では不活化ワクチンの注射は筋肉にします。
薬を注入する部位
皮下注射はおもに皮下脂肪(皮膚と筋肉の間)、筋肉注射は皮下よりさらに深い筋肉に薬を注入します。
流れる血の量が注射の効果と副反応に影響を与えます。筋肉は皮下脂肪と比べて血管が豊富です。
皮下注射
薬がゆっくり吸収される。
効果
発現に時間はかかるが効果は長続きする。
副反応
薬が皮下に長く残るので注射部位の腫れや刺激がでやすい。
これがインフルエンザの注射後に感じる赤みや腫れ、重だるい痛みの原因です。
筋肉注射
筋肉は薬の吸収が早い
効果
効果が早く出現する。
薬が残らないので局所反応(赤み、腫れ、痛み)は少ない。
皮下注射と比べて
注射液の量を多くできる。刺激の強い薬を注射できる。
アジュバントというワクチンの効果を高める成分が入ったワクチンは、皮下注射では痛みや腫れが発生しやすくなります。コロナウイルスワクチンはアジュバントを使っているので筋肉に注射します。
免疫産生
筋肉には免疫細胞が多く分布しているため筋肉注射は抗体が多く産生されます。ワクチンの本来の免疫をえるためには筋肉注射が優れています。
痛みの原因
一般的には筋肉注射を痛がる患者さんが多いようです。
注射の痛みの原因は3つ
- 針を刺す痛み
- 薬を注入する痛み
- 注射部位に残った薬の影響
注射針が同じであれば皮膚の痛みに差はありません。
筋肉注射
皮下からさらに深く針を進めるので筋肉を覆う筋膜や筋肉自体の痛みが加わる。
筋肉注射は痛みを強く感じる刺激の強い薬や多量の薬を注入する。
皮下注射
薬の吸収が遅いので局所の痛みは強くなります。
痛みは注射方法や薬以外に心理面の影響も大きいのでどちらが痛いか結論はでません。
日本で皮下注射が一般的な理由
日本では1970年代に筋肉注射で約3600名の患者さんが大腿四頭筋拘縮症になりました。このことが社会問題になり、以後筋肉注射は避けられています。
筋拘縮の原因
注射された薬は抗菌薬や解熱鎮痛薬でした。
次の3点が原因と考えられています。
- 薬の大量投与
- 低いpH
- 高い浸透圧
ワクチン自体が原因ではありませんでした。
- 注入された抗菌薬や解熱鎮痛剤との関連が指摘されている
- 筋肉注射自体に問題はない
コロナワクチン
- 少量投与
- ほぼ中性のpH
- 生理的な値に近い浸透圧
結論
筋肉注射による筋拘縮発生の危険は低い
筋肉注射の特徴
- 抗体産生が優れている
- 副反応が少ない
- 筋拘縮症発生の危険は低い
ワクチン接種には筋肉注射が皮下注射より優れています。また筋肉注射自体にも特別な問題はありません。コロナワクチンを打つ順番が回ってきたら私は注射を受けることにしました。
みなさんもテレビのワイドショーの情報だけでなく、コロナウイルスワクチンの接種は自分で調べて決めてください。