どうして「いただきます」と言うの。第3回「神宮神田の一年」-『お伊勢さん』DVDボックス。

伊勢神宮内宮の御稲御倉の写真です。神田から収穫した抜穂の御稲が納められます。

57歳でフリーターになったUn lapinです。DVD『お伊勢さん』で伊勢神宮の行事を学んでいます。

古来より日本人の生活は稲作を中心に営まれてきました。お米の力が文化を築き、日本人の心を形作ってきました。

大切な稲作を伝えてくれた神様と先祖に対して、私たちは「 いただきます」「ごちそうさま」と食事のたびにに感謝しているのです。

今回は、第3回「神宮神田の一年」を紹介します。女優の夢輝のあさんが三重県伊勢市楠部町にある神宮神田をレポートします。

1年間を通して神宮における米作りとお祭りを紹介し、稲作によって日本の文化や伝統が築きかれたことが明らかにします。

神宮神田

伊勢神宮が直営している東西約100m、南北約30m、広さ3ヘクタールの水田です。

約2000年前、天照大神が伊勢の地に鎮座した際に倭姫命によって創設されたと伝えられています。神様にお供えするお米のみを育てています。

チヨニシキやイセヒカリなどのうるち米、もち米、わら用、貴重は保存品種など10数種類の稲を栽培しています。一反辺り9俵弱、合計240俵(14,400kg)が収穫されます。

1871年(明治4年)の神宮改革で伊勢神宮の神領地は政府に没収されて神田は廃止されました。しかし、伊勢神宮はこれを買い戻し、1889年(明治22年)に神田での米作りを復興しました。

豊作の祈り

祈年祭

2月17日、春の耕作が始まる前に豊作を祈ります。

「としごいのまつり」とも呼ばれています。「とし」とは稲の美称であり、お米を始めとする五穀の豊かな稔りを祈ることを意味します。

外宮と内宮だけでなく、神宮に関わる125社すべての神社で執り行われます。

神宮農業館

1891年(明治24年)に創設された日本最古の産業博物館です。神宮御料地の資料や、明治の農林水産業の資料などが展示されています。

夢輝のあさんが神宮農業館を訪れ、石垣仁久神宮権禰宜に稲作と神宮の関わりを伺います。

斎庭の稲穂の神勅

天孫降臨の際、天照大神は瓊瓊杵尊に三種の神器とともに自ら育てた稲穂を授け、食料として日本の国に広めるよう命じました。古代よりこれほどに稲穂は重んじられてきました。

この様子を描いた絵画が農業館に展示されています。

祭場田

3月下旬、用水路の板を抜き、五十鈴川の清らかな水が祭場田に注がれます。

神宮神田には21枚の水田があります。最初に水を入れるのは祭場田と呼ばれる特別な水田です。ここで神田下種祭、御田植初、抜穂祭が執り行われます。

種蒔き

神田下種祭

4月上旬に開催されます。日にちは決まっていません。神宮のお祭りでお供えする御料米の籾種を神田に蒔きます。

神宮神田で行われるその年最初のお祭りで、神嘗祭に附属する重要な祭典です。

山口剛作長が黄色い狩衣姿で奉仕する様子が紹介されます。作長は神職から授かった忌鍬を持ち、畦上で3回鍬を打ちます。

続いて忌桶から籾種を取り出し、作丁の持つ箕に振り分けます。この籾種は「忌種」と呼ばれます。清らかという意味です。

作丁が神田の苗代に籾種を直蒔きします。うるち米のチヨニシキで、前年にこの水田で収穫されたものです。

塩水に籾種を入れ、浮いた種を取り除く塩水選でより分けた大粒なものだけを使用します。

籾種24粒で収穫できるお米の量は?

お茶碗2杯半のご飯になります。

24粒の籾種から24本の苗を作ります。苗を3本ずつ8株に分けて植えると、13,860粒のお米が出来ます。

稲は効率の良い食糧です。生産性と貯蔵性に優れた稲作が伝播された結果、日本の人口は飛躍的に増加しました。

苗とり

神宮神田の苗とり作業

5月中旬、稲は高さ10cmの早苗に育ちます。

株別れした苗を一つずつ手にとり、土を落としてまとめていきます。良い稲が育ったことへ、自然に感謝します。

田植え

お祭りの準備

御田植の地元、伊勢市楠部町の公民館で行われる踊りとお囃子の稽古が紹介されます。伝統の技が地元の人々によって受け継がれています。

御田植のシンボルである大団扇作も地元の人たちが作ります。

豊作の大黒様と大漁の恵比寿様。どちらもにこやかな表情です。長さ3m、直径1m20cm。二つの大団扇が完成してお祭りの準備は完了です。

御田植初

5月中旬、神宮のお祭りにお供えする御料米の早苗を植えます。地元楠部町の「神宮神田御田植祭保存会」が古式ゆかしく奉仕します。

黄色い狩衣姿の作長が神職から3束の苗束を受け取ります。

烏帽子をかぶり、白の子持帷子に黄色い襷をかけた植え方と、白衣に赤色の帯と襷をかけて菅笠をかぶった早乙女が横一列に並んで早苗を祭場田に植えていきます。笛や太鼓のお囃子が調子よく響きます。

 

御田植えが終わると、恵比寿様と大黒様の大団扇を合わせて五穀豊穣を祈ります。

神宮神田の行事が終わると奉仕者は内宮摂社 大土御祖神社へ踊り込みます。社殿の前で青年らが田舞を奉納して行事を締めくくります。

この神社には神田の土地を守る神様や水の神が祀られています。

最後に大団扇が破られます。鳥居をくぐった大団扇を神職が笏で打ち破ると、拝観者たちは団扇の紙片を頂きます。

大団扇の紙片にはご利益があるそうです。このため、大団扇は骨組みだけになってしまいます。

神宮神田の御田植奉仕

お祭りが済んだ神田には日本各地から奉仕団が集まり、神様へお供えされる稲を一本一本植えていきます。

風日祈祭

毎年5月14日と8月4日に執り行われます。五穀豊穣を祈るお祭りです。天候が順調で風雨の災害がないことを祈ります。

内宮風日祈宮で蓑と笠が辛櫃から捧げられる様子が紹介されます。

伊勢神宮外宮の風宮と内宮の風日祈宮を中心に全125社で行われます。

稲刈り、抜穂

抜穂祭

9月上旬、神宮神田で行われます。

お祭りにお供えする御料米の初穂を抜き奉るお祭りです。その年に初めて実った初穂を忌鎌で刈り、稲穂を一本ずつ抜き取り束ねます。

神宮大宮司らが参進する様子が紹介されます。神職が八度拝をします。立ったり伏したりして礼を4回、拍掌を8回。これを2回繰り返します。

黄色い装束の作長が忌鎌で神田の稲を刈り取ります。作丁らが抜穂を作っていきます。

伊勢神宮内宮の御稲御倉の写真です。神田から収穫した抜穂の御稲が納められます。

乾燥させた抜穂は、内宮の御稲御倉と外宮の忌火屋殿に奉納され、神嘗祭などの祭典で神前にお供えします。4月の神田下種祭と共に神嘗祭に付属するお祭りです。

4月初めの神田下種祭から5カ月。五穀豊穣を祈るお祭りを重ねながら米作りは進みます。

日別朝夕大御饌祭

毎日朝夕の2回、天照大神に御饌を供えるお祭りです。外宮鎮座より約1500年間、行われています。

神饌は御飯三盛、鰹節、魚、海草、野菜、果物、御塩、御水、御酒三献と多岐にわたります。

日別朝夕大御饌祭で添えられる神饌の写真です。御飯三盛、鰹節、魚、海草、野菜、果物、御塩、御水、御酒三献と品目が定められています。

神宮「日別朝夕大御饌祭の神饌」より引用

神様へ捧げる食事は自給自足を原則とします。

神宮御園

三重県伊勢市二見町溝口。季節の野菜や根菜、果物など50種類が栽培されています。

御塩殿神社

三重県伊勢市二見町荘。お祓いに欠かせない堅塩を年間200個ほど作ります。五十鈴川河口にある入浜式の御塩殿でとれた塩水を煮詰め、さらに焼き固めます。

神宮御料鰒調製所

三重県鳥羽市国崎町。お祭りで奉納される熨斗鰒を作ってお供えします。熨斗鮑を大と小に切り分けた身取鰒、藁ひもで綴って一連とする玉貫鮑が紹介されます。

抜穂作りの奉仕作業

神戸神社の敬神婦人会の作業を夢輝さんが紹介します。春は田植え、秋は抜穂作りのご奉仕をします。一本ずつ稲を束ね、二人で1時間かけて7束を作ります。

「一本、一本、丁寧に、心を込めています」と奉仕の婦人が語ります。

収穫に感謝

初穂曳

10月15日に行われます。その年、初めて収穫されたお米を初穂と呼びます。

奉曳車に初穂を乗せて外宮へ向かう様子が紹介されます。地元民だけでなく全国各地から特別神領民が奉仕に関わります。

正宮の玉垣

全国から初穂が奉納されます。

紙垂のついた稲穂は天皇陛下の御稲穂です。天皇陛下が皇居内の水田で刈り取られた稲束が紹介されます。

これらの稲束を懸税と呼びます。古代においてはお米が税でした。お米は経済にも深く関わっていました。

神嘗祭

10月16日に行われる伊勢神宮で最も大切なお祭りです。夜に執り行われます。

天孫降臨の際に稲穂を授けてくれた天照大神に、今年も無事に稲穂が育ちましたと感謝する祭です。古くは覆奉と呼びました。

毎年行われる神嘗祭に対して、20年に一度の式年遷宮は大神嘗祭とも呼ばれています。

新嘗祭

11月23日に行われます。

神域が紅葉に彩られた内宮風日祈宮での祭典が紹介されます。

神宮神田で育ったお米から作ったご飯やお餅、お酒とともに海の幸、山の幸を神前に供え、恵みに感謝します。

まとめ

米作りの意義とは?

耕作、栽培の英訳はCulture。

Cultureには文化という意味もあります。日本人にとって稲作は文化の土台です。お米の力が日本人の心を形作りました。

「 いただきます」「ごちそうさま」

ご飯を作ってくれた家族だけでなく、お米を授けてくれた神様と、この国で稲作を続けてきた先祖に対する感謝の気持ちです。

おかげさまで生きていられます。

「 いただきます」と「ごちそうさま」をもっと丁寧に言いたくなりました。

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