年間 10,000 人、何の人数かご存知ですか?
糖尿病で足を切断した人の数です。交通事故による死者の3.5倍(2020年)
糖尿病で失明した人は年間 4,000 人、糖尿病はヤバい病気です!
堀江貴文『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』が出版されました。
糖尿病を基本から説明して最新の治療やすぐに始められる予防法を教えてくれる本です。
目次
健康は究極の資産
糖尿病の特徴は自覚症状がないこと、このため病気が進行しないと気づきません。
一方で生活習慣を改善すると高い予防効果がえられる病気です。
自分は糖尿病と関係ないと思っている方も、ぜひこの本を読んで生活習慣を改善してください。
糖尿病はヤバい!
最初にマンガで糖尿病の恐ろしさを教えてくれます。健康診断で血糖値が高かったら足に注意してください。
糖尿病が進行すると神経が障害されて痛みがなくなります。
- ホットプレートで火傷しても気づかない
- 骨折しても普通に歩いている
これは実際にあった話、糖尿病は本当にヤバい病気です。
糖尿病の基本
血液中のブドウ糖が増えると、細胞では酸化と糖化が起きて体中の血管や臓器がダメージを受けます。しかし最初は自覚症状がありません。殆どの人が健康診断で初めて異常を知ります。
やがて重症になると糖尿病は体中の臓器に悪さをします。足を切断したり、失明するだけではなく命に関わる合併症が発生します。
新型コロナウイルスなど感染症も重症化しやすくなります。
合併症
し・め・じ
糖尿病の三大合併症は「しめじ」と覚えてください。
「し」
神経の障害:しびれ、痛み、感覚の低下、勃起不全
「め」
目の障害:糖尿病網膜症→失明
「じ」
腎臓の障害:糖尿病性腎症→人工透析
え・の・き
「えのき」というのもあります。
「え」足の壊疽
「の」脳卒中
「き」狭心症、心筋梗塞
どれも命に関わる大問題、糖尿病の合併症は知らないうちに近寄ってきます。
最新治療
21世紀に入ってから糖尿病の本質を問い直すような発見が相次いでいます。
GLP-1受容体作動薬
2010年に登場した薬です。
- 膵臓臓に働きかけてインスリンの分泌を促進
- 脳に作用して食欲を抑制
- 脂肪細胞に働いて脂肪を燃焼
血糖値を下げるのに低血糖を起こしにくいのが特徴です。
SGLT2阻害薬
2014年に登場しました。
- 腎臓で糖を再吸収するのに使われるSGLT2の働きを抑制
- 体内に余っている糖を尿中に出して血糖値を降下
特徴は
- 膵臓を酷使しない
- 低血糖の心配が少ない
- 体重減少・血圧低下・脂質改善
糖尿病治療薬の既成概念を打ち砕いた薬です。堀江貴文さんは糖尿病予防と体重コントロールのためにSGLT2阻害薬を服用しています。
デジタル治療
持続血糖測定器「CGM(持続グルコースモニタリング)」が2015年に発売されました。皮下に刺した細いセンサーによって1日24時間血糖値を測定します。
血糖値が常に画面表示されるので患者はリアルタイムで血糖状態を確認できます。CVMの登場で患者自身が血糖値に応じてインスリンの注入量を調整できるようになりました。
デジタル薬(治療用アプリ)
科学的根拠にもとづくソフトウェアを使った治療法です。患者の意識や生活習慣を変えることで病気の治療をめざします。
2010年 糖尿病治療用アプリ「BlueSugar」がFDAで承認されました。今後も糖尿病治療を画期的に変える開発が期待されます。
すぐできる予防法
医療が進歩しても糖尿病は自己管理が重要です。その根幹は食事と運動、睡眠
食事
肉の脂を過剰摂取しない
多価不飽和脂肪酸(魚、植物)を食べましょう。
食べる順序
糖質の接種は5分以上あとまわしにする
この食べ方は血糖値と食欲を抑えて体重を減らす効果があります。
食事の適量
腹八分目が理想、よく噛めば満腹感をえられます。
運動
1週間合計で30分ウォーキングすれば予防効果がえられます。
心拍数120、ややきつめで汗ばむ程度の有酸素運動がオススメです。
簡単で効果のある運動
大股速歩き、両腕ぐるぐる巻き運動、ウォーキング、立ち上がりスクワット、壁立ち腕立て伏せが推奨されています。
睡眠
7時間前後が最適、短時間でも長時間でも糖尿病の発症リスクは高くなります。
食べてすぐ寝ると糖は脂肪として体内に蓄積します。夕食後1~2時間起きていましょう。この間に糖がエネルギーとして使われます。
糖尿病でない人も食事や運動など生活習慣を改善してください。
堀江貴文
この本を読んで堀江貴文さんの印象が変わりました。マスコミ報道であまり良い印象をもっていませんでした。
- 真面目な取材
- 話の本質を深く理解する能力
- わかりやすい説明
ものごとに全力で取り組むとても真面目な人です。
2016年に彼が立ち上げた予防医療普及協会は『糖尿病の本当の怖さ』という映画を制作しています。
糖尿病の怖さと予防の大切さを教えてくれる映画です。
予防医療普及協会は糖尿病のほかに子宮頸がん、胃がん、大腸がんの予防医療活動をしています。
全ての病気が防げるわけではありませんが、知ることで防げる病気があります。ぜひこの本を読んで明日からではなく、今から生活習慣を変えてください。
三木鶏郎著『私の愛する糖尿病』
手元にあった古い本を読み返しました。三木鶏郎著『私の愛する糖尿病』1981年、実業之日本社刊、40年ほど前に出版された糖尿病の本です。
「糖尿患者学」の本としては古典中の古典、単行本の帯広告のキャッチフレーズは「たとえ好きな女房と別れることが出来ても、糖尿とは生涯別れることは出来ない」
三木鶏郎(1914~1994)は第二次世界大戦後の娯楽メディアで活躍したマルチエディターです。44歳で糖尿病と診断されました。生命保険に入るために健康診断を受けたのがきっかけです。
初めて測った血糖値は315mg/dL、糖尿病と真摯にむきあい1969年(昭和44年)5月「糖尿友の会」を発足しました。
三木鶏郎の頃から「インシュリン」が「インスリン」、「食餌療法」が「食事療法」に変わりました。治療法も大きく発展しましたが、食事と運動、睡眠、ストレス解消が重要なことは40年前と同じです。古本でしか手に入りませんがオススメの本です。