57歳で会社を退職してフリーターになった Un lapinです。退職の手続きや、転職後の話をしています。
前回の記事では、円満に退職する方法を説明しました。
ポイントは4つです。
● 家族の理解
● 転職先の確保
● 円満な退職
● 年金と健康保険の勉強
フリーターになると加入する年金が変わります。今回は年金の仕組みと手続の話をします。最後に年金の保険料を払わないと老後に損をする理由を説明します。
目次
退職すると加入する年金が変わります
サラリーマンは年金の手続き会社に任せていますが、フリーターになると全て自分でしなければなりません。
第1号、第2号、第3号被保険者、国民年金、厚生年金、国民年金基金。皆さんは意味をご存じでしょうか。
転職をきっかけに、私は57歳で年金の勉強を始めました。
国民年金の種類と制度
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入しなければなりません。国民年金の加入者は3種類に分けられます。
サラリーマンと公務員は第2号保険者、その人たちに扶養されている配偶者は第3号被保険者です。これ以外の自営業者や農業、学生、フリーター、無職の人は第1号被保険者になります。
日本の年金制度は2階建になっています。全ての人が加入する国民年金は基礎年金と呼ばれて1階部分にあたります。第2号被保険者は基礎年金の2階部分として厚生年金に自動的に加入します。
厚生年金の保険料の半額は給与から天引きされ、残りの半額は事業主が支払っています。保険料を自分で納めないため、多くのサラリーマンは年金の支払を実感していません。
第1号被保険者は自分で2階部分を上乗せしなければなりません。
上乗せがないと受け取る年金が少なくなってしまうため、第1号被保険者には基礎年金の2階部分として月額68,000円まで拠出できる国民年金基金という制度があります。
第2号から第1号へ
サラリーマン時代の私は第2号被保険者、家内は第3号被保険者でした。家内は専業主婦なので私がフリーターになると、夫婦ともに第1号保険者になります。
第1号被保険者になる手続きは、退職後14日以内に役所の国民年金窓口で行います。退職した翌月から毎月保険料16,490円を二人分払うことになりました。
年金手帳を紛失
サラリーマン時代は年金手帳を使うことはありませんが、年金の手続きには必要です。皆さんは年金手帳の保管場所を覚えていますか。私は紛失してしまったので再交付してもらいました。
手続きは簡単です。日本年金機構のホームページから再交付申請書をダウンロードします。必要事項を記入して、年金事務所へ申し込めば手続きは終わります。年金事務所には基礎年金番号のメモと運転免許証を持参してください。
3週間ほどで自宅に年金手帳が届きました。手帳はオレンジ色から青色に変わっていました。
再交付の手続きは会社でもしてもらえます。会社を辞める予定がなくても、年金手帳の保管場所は確認しておいてください。
国民年金基金に加入
受け取る年金を増やすため、家内と私は国民年金基金に加入しました。国民年金基金の保険料の決め方は複雑です。
給付の型と口数を自分で選んで、1カ月68,000円の範囲内で年金プランを組み立てます。
給付の型は終身年金が2種類、確定年金が5種類あります。
終身型は加入者が亡くなるまで給付金をもらえます。確定型は給付金をもらえる期間が確定しています。
年齢と性別によって各給付型の1カ月の保険料は変わり、年齢が高いほど、また女性は保険料は高くなります。
興味のある方は、国民年金基金のホームページで年金額と掛金のかけ方をシミュレーションしてみてください。
家内と私は年齢が離れているので、私は年金受給の途中で亡くなっても家族へ一時金が支給される給付型を中心にプランを組みました。家内は遺族一時金の保証がないB型を中心にしました。
申込は国民年金基金のホームページで資料を請求し、加入申出書に必要事項を記入して郵送します。
国民年金には付加保険という上乗せ制度があります。
1カ月400円の保険料で「200円×付加保険料納付月数」の付加年金を受け取れます。国民年金基金と併用できないため、私たちは申し込みませんでした。
年金のお得な制度
前納で割り引き
国民年金と国民基礎年金は、前納すると保険料が安くなります。国民年金は口座振替をすれば、6カ月前納で1,120円、1年前納で4,150円、2年前納で15,640円が割り引かれます。
国民年金基金は、1年前納すれば0.1カ月分の掛金が割引されます。
確定申告で節税
国民年金と国民年金基金の保険料は社会保険料控除の対象です。確定申告をすれば所得税と住民税が安くなります。
一緒に暮らしている家族の分を支払った場合は、支払った人の税金が安くなります。私は家内の保険料も支払うので、私たちの保険料の合計額が来年の確定申告で控除されます。
第1号資格の取得
手続きは簡単でした。私は退職した翌日に年金事務所へ行きました。
かかった時間は、待ち時間が5分、実質10分でした。年金手帳と会社から受け取った退職証明兼資格喪失証明書を窓口で渡し、書類に必要事項を記入すれば終了です。
年金事務所で国民年金基金も申し込もうとしましたが、受け付けてもらえませんでした。国民年金と国民年金基金は運営組織が異なるため、年金事務所では国民年金基金を扱っていません。
国民年金基金の手続きは資料をネットで請求します。ホームページで地域型か職能型のどちらかを選び、フォームに必要事項を入力して請求します。
職能型は全国の同一業者で構成され、地域型は同一都道府県の住民で構成されています。どちらも事業内容・掛け金・年金支給額は同じです。
現在は他の都道府県に転居したり、職業を変えたりしたときは3か月以内に加入可能な基金に加入しないと資格を失います。平成31年4月1日に職能型と地域型が全国国民年金基金として統合されると、このような問題はなくなります。
2日ほどで加入申込書が届きました。1カ月68,000円の範囲で給付型と加入数を決めて申出書を返送すれば手続きは終わりです。
年金は破綻するのか?
皆さんは、日本の年金は危ない、破綻して年金をもらえなくなる、という議論をネットや雑誌で読んだことがあると思います。
『「年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識』、財務省の官僚だった髙橋洋一氏の本です。
年金はもらえるの? そんな心配をしている方におすすめします。
年金の不安を煽るメディアの間違いが易しく解説されています。年金の仕組みを理解して、不安を払拭してください。この本は退職を前にして不安な気持ちでいた私の心を前向きにしてくれました。
年金は長生きした人を保障する保険
年金は福祉ではないので、国が老後を保障する制度ではありません。早く死んでしまった人が支払ったお金を、長生きした人が年金として受け取る制度です。長生きした場合に備えておくための保険が年金です。
40年間払った保険料と、20年間で受け取る年金額がほぼ同じになります。金融商品として考えるとお得で、20歳から60歳まで40年間納めたお金を、60歳から80歳までの20年間で受け取れます。
日本の年金は破綻しない
日本の年金は賦課方式です。私たちが払っている保険料は、高齢者の年金に充てられています。自分が高齢者になると、その時の若い人たちの保険料から年金を受け取ります。
年金は保険数理のもと厳密な計算によって「保険料」と「給付額」が決められます。社会環境が変われば、保険料を上げたり給付額を下げたりすることで破綻しないように運営されていきます。日本という国家と制度が維持される限り年金は破綻しません。
人数ではなく金額の問題
現役世代何人で一人の高齢者を支えるのか、という考え方は誤りです。年金は人数の問題ではなく金額の問題です。
保険料とその運用で年金制度はまかなわれています。給付額が増加するなら、保険料を上げれば良いのです。
今後、人口が少しずつ減少しても、経済を成長させて所得を増やしていけば制度は維持できます。現役世代の人数減少は織り込み済みなので、年金制度を安定させる一番のポイントは日本経済が成長を続けることです。
保険料を払わないのは損
当てにならない話を信じて保険料を納めないのは、老後を考えると損な行動です。国民年金未納率が4割というのは嘘で、公的年金加入対象者6,721万人に対して未納者数は224万人にすぎず、実際は97%の人たちが保険料を納めています。
髙橋さんの本によれば、保険料が免除されている第3号被保険者(932万人)や第1号被保険者の中の免除者(380万人)、学徳・猶予者(222万人)を未納者に含めると未納率4割という数字が出ます。
メディアに不安を煽られて年金に不信感をもつより、年金について正しい知識を身につけて安心な老後の準備をしましょう。
まとめ
フリーターの年金のポイントは2つです。
● 第1号被保険者として国民年金に加入
● 基礎年金の上乗せとして国民年金基金に加入
日本の年金制度については3つがポイントです。
● 年金は長生きに備えた保険
● 年金は破綻しない
● 保険料を払わないのは損
安心な老後を過ごすために年金は大切な制度です。不安を煽る世間の声に惑わされないで正しい知識を身につけてください。
フリーターは、年金の手続きを全て自分でしなければなりません。退職までにしっかりと勉強をしておきましょう。
次回は、転職後に加入する健康保険の話をします。
退職後の報酬月額が28万円以上なら、健康保険は任意継続がお得です。