ノーヒットノーランを達成した日は「ただの一日」にすぎない、No.78 クレトン・カーショウ、Joe Posnanski『THE BASEBALL 100』#9

小学生の男の子が野球のボールを投げているイラストです。元気で可愛らしい男の子です。男の子は左利きの投手です。 男の子は左手に手にボールを持っています。広い草原で投球をしています。右手にはグローブをはめています。右脚を高くあげています。左脚は地面につけたままの状態です。顔は右側を向いています。男の子は白いユニフォームを着ています。 帽子とストッキングは青色です。背番号は22番です。帽子のマークはLとAを重ねてデザインされています。

Clayton Edward Kershaw (1988年3月19日 – )

大谷選手が所属するドジャースの現役投手です。2023年オフシーズンに左肩を手術したため、2024年シーズンは登板していません。このためカーショウの投球を実際に見ていない人も多いと思います。

2008年メジャーリーグデビュー、2024年現在36歳です。2006年から19年間、MLBのキャリアすべてをドジャースで過ごしています。

Joe Posnanski『THE BASEBALL 100』では野球史上偉大な100人のうち78位にランクされています。カーショウの前後に並ぶのは以下の選手たちです。

  • No.79 Derek Jeter
  • No.77 Miguel Cabrera
  • No.75 Justin Verlander
  • No.73 Brooks Robinson
  • No.70 Sandy Koufax

カーショウはシーズンオフのボランティア活動でも有名で、妻のエレンとともにザンビアの孤児院や子どもたちを支援しています。その活動によりロベルト・クレメンテ賞と ブランチ・リッキー賞を受賞しました。

ポズナンスキーが『THE BASEBALL 100』で語るカーショウの物語を紹介します。

時空を超えた絆

カーショウはドジャースの先輩であり名投手であったコーファックスを深く尊敬しています。50年の時を隔て青いユニホームを着た二人のサウスポーが同じマウンドに立っているのです。

二人は数々の輝かしい記録を打ち立ててきました。野球は時代と共に変化するので二人の成績は単純に比較できません。しかし多くの共通点があります。

  • ドジャースの投手である
  • 「K」で始まる名前をもつ
  • 左利きの伝説的な投手である
  • 速球とカーブを武器にしている
  • 投球はエキサイティングなのに私生活では謙虚である

50年の時を隔て、コーファックスが投げた伝説的なマウンドにカーショウも立っているのです。

成績にも共通点があります。

  • 防御率リーグ1位を5回達成
  • WHIPリーグ1位を4回達成
  • サイ・ヤング賞を3回受賞
  • MVPを1回受賞
  • 通算成績はコーファックスは165勝87敗
    カーショウは175勝76敗(210勝92敗、2024年6月現在)

一方で戦略やスタイルが大きく変わった異なる時代の野球を二人はしています。

完投の重要性
コーファックスの時代、先発投手の役割は完投することでした。1965年と1966年、それぞれ27回も彼は完投しました。カーショウはキャリアを通して25回しか完投していません。

投球回数
コーファックスは1シーズン335イニングも投げたことがあります。カーショウの場合、2シーズンかけて、ようやくこの投球回数に達します。

本塁打の増加
コーファックスの時代はマウンドが高く、点の入りにくい時代でした。カーショウはどの打者も、どの球種を投げても本塁打を打たれる危険な時代の投手です。

ポストシーズンの重要性
コーファックスはポストシーズンの試合が少ない時代の投手でした。ポストシーズンに彼は7回しか先発登板していません。しかし、いずれもワールドシリーズで奇跡的な投球をしました。一方現在は多くのチームがプレーオフに進出します。カーショウはポストシーズンに30回も先発登板しています。

カーショウとコーファックスは、異なる時代の野球をそれぞれに象徴する存在です。しかし50年の時を隔てても、二人が圧倒的な才能と実績を持つ左腕投手であることに違いはありません。

映画「マネーボール(Moneyball)」でブラッド・ピット演じるオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャーが椅子に深くもたれてつぶやきます「野球にロマンを感じないわけがないだろう」

野球は人間がプレーするゲームが持つ全ての問題や欠点や論争、不満、失望を抱えています。これらすべてを知りつつも、私たちは時代を超えた才能に魅せられ、野球というゲームのロマンを感じずにいられません。

妥協なき時間管理

カーショーは時間を厳密に管理します。登板前に毎回決まった時間に決まった行動をとるのです。4時間前、3時間前、2時間前にそれぞれ異なるルーティンがあり、水分補給、ランニング、外野フェンスへのダッシュ、ブルペンでのウォーミングアップなど、すべてを正確なタイミングで行います。

特別な日

カーショウは自分の時間を大切にします。このため、インタビューの依頼は20回に1回しか受けてくれません。ポズナンスキーは5分間だけカーショウにインタビューしたことがあります。

コーファックスのことをカーショウは「彼の謙虚な姿勢から多くを学びました。彼は自分の業績を押しつけたりしません。彼は野球について話をするのが大好きで、常に相手が成功することを望んでいるだけなのです」と評しています。

カーショウが少年時代に抱いていた最大の夢は「メジャーリーグで投げること」でした。メジャーリーグで投げられる今の環境や、周りの人々に対する感謝の気持ちをカーショウは語っています。

「シーズンの最初の日にこんなことを考えます。ロサンゼルスの球場に戻ってきて、あのトンネルをくぐって3階席を見ると、自分が毎日ここにいられるのは特別なことだと実感します。あのマウンドで投げられて、あの外野を駆け回ることができるのだと。そしてその日に感謝の気持を実感し、次の日から野球に取りかかるのです」

また投手にとって最も重要なのはメンタルだとカーショウは語っています「打者にヒットを打たせないという強い気持ちを持ち続けることが大切です。強い精神力があればプレッシャーのかかる場面でも実力を発揮して成功に繋げてくれます」

彼にとってはノーヒットノーランを達成した日は「特別な日」ではありません。その日は「ただの一日」にすぎないとカーショウは冷静に考えています。

野球はヒットを打つことが難しいので、投手が成功することを前提としたゲームです。 そのため「打者を抑えた日」はカーショウにとって「特別な日」でなく「ただの一日」に過ぎません。

カーショウにとって「特別な日」とは、すべてがうまくいかない日です。
「すべてがうまくいかない日」こそが、投手として成長するために必要不可欠な「特別な日」だとカーショウは考えています。

2024年夏、カーショウはリハビリテーション中です。6月にはマイナーリーグで試験登板をしました。カーショウの復活と大谷選手とともに活躍する試合を楽しみに待っています。

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