中高年者は健康のために何をすればよいのでしょうか。
能勢博『ウォーキングの科学』がその答えを教えてくれます。
著者は信州大学医学部の特任教授、運動生理学の専門家で長野県松本市で行った研究でインターバル速歩が中高年者の健康改善に有効であることを明らかにしました。
能勢博『ウォーキングの科学』
インターバル速歩の効果は体力向上だけではありません。高血圧、糖尿病、肥満症などの生活習慣病、うつ症、睡眠の質、認知機能、関節痛を改善します。この本はインターバル歩行のやり方だけでなく、効果的な栄養のとり方も教えてくれます。
インターバル速歩で重要なのは次の2点です。
ダラダラ歩くのはダメ
ダラダラ歩いても効果はありません
- ややきついと感じながら早歩きを3分
- ゆっくり歩きを3分
- これを交互に繰り返す
ダラダラ歩くだけでは1日1万歩でもあまり効果はありません。最高酸素消費量の60%でインターバル速歩を1日5セット(合計30分)、週4日以上行うのがオススメです。
科学的なデータによると体力の向上だけでなく、生活習慣病や関節痛、骨粗鬆症、うつ症などの症状も改善しました。

週に60分でも効果があるので、平日が忙しい方は週末にまとめて歩いてもOKです。1週間に60分以上の早歩きを5か月行えば効果がえられます。
歩行後30分以内に栄養をとる
運動後は栄養摂取が大切です。運動終了後30分以内は栄養回復のゴールデン・タイム、このタイミングで牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品をとりましょう。
疲労回復だけでなく、筋力向上や生活習慣病を改善する効果があります。

また運動直後にコップ1杯の牛乳を飲むだけで熱中症のリスクも下がります。
次のような方にオススメです
インターバル歩行は次の症状を持つ中高年の方にオススメです。
- 体力の衰えを感じる
- 高血圧や糖尿病、肥満症などの生活習慣病をもっている
- よく眠れない
- 運動をしたいけれどジムに通う時間がない
- 毎日ウォーキングをしているが効果を感じない
インターバル速歩の方法
3分間の速歩
スピードは軽い会話ができる程度
ややきついと感じながら歩いてください
- 背筋を伸ばして胸を張る
- 視線は25m先、やや斜め下を見る
- 肘は90度に曲げて大きく振る
- 歩幅は普段より大きめ
- ける方の足は指で地面を押し、着地は踵から
速歩の次の3分間はゆっくり歩く、これを繰り返します。
ジムに行く必要がないので、お金がかからず場所や時間も特定されません。

簡単に取り組める運動なのでぜひ試してみてください。
私の体験
私は現在、朝の散歩と通勤時にインターバル歩行をしています。
朝の散歩
近くの神社まで往復1.5kmを速歩で約20分
朝夕の通勤
駅から勤務先まで朝夕1.2kmを10分間速歩きしています。1週間で朝の散歩が140分(20分×7日)、通勤時の速歩が100分(10分×2回×5日)、合計で週205分をインターバル速歩に利用できるようになりました。
Apple Watch
運動の管理にはApple Watchが便利です。

Zones
速歩の管理にはZonesという心拍トレーニングアプリで心拍数と運動強度を測定しています。
朝の散歩時のZonesのデータです。

運動時間
20分8秒
歩行時の脈拍
74~130/分
平均102/分
運動強度
43~76%
平均60%

歩き始める前にApple Watchの画面をタップするだけで、このデータがえられます。
インターバル歩行の効果
速歩を始めて3つの効果がありました。
早起き
散歩のために1時間早く起床、歩くことを目的にしたら苦もなく早起きが習慣になりました。
朝食の改善
運動後30分以内が栄養回復のゴールデン・タイム、タンパク質の摂取量を増やしました。

運動の直後に次の食品をとっています。
- 牛乳(コップ1杯)
- ヨーグルト(1カップ)
- チーズ(1ピース)
- サラダチキン (1パック)
合計で327Kcal、タンパク質は22g、摂取するカロリーは増えましたが体重は変わっていません。
MyFitinessPad
食事の管理にはMyFitinessPadというアプリがオススメ、食品のバーコードをスマホでスキャンするだけで食品の栄養データを登録できます。

カロリーだけでなく、タンパク質や脂質、炭水化物などの栄養成分も自動で登録

無料と有料版がありますが、無料版で十分役に立ちます。
睡眠
夜中に目が覚めなくなりました。

眠りが深くなったので寝起きだけでなく、一日を快適に過ごしています。
AutoSleep
私の睡眠状態、AutoSleepという睡眠管理アプリの結果です。

睡眠時間だけでなく、睡眠の深さや評価、睡眠中の動脈血酸素飽和度や呼吸数も計測可能です。使い方はApple Watchを付けて寝るだけ、朝起きて活動を開始すると睡眠データが自動的に記録されています。睡眠の管理にとても役立つオススメのアプリです。
能勢博『ウォーキングの科学』講談社ブルーバックス
インターバル速歩が中高年者の健康増進に効果あることを科学的に紹介した本です。
体力向上だけでなく、高血圧や糖尿病、肥満症などの生活習慣病や、うつ症、睡眠の質、認知機能、関節痛がインターバル速歩で改善します。
お金がかからず、場所や時間を自由に選べるので簡単に実行できます。
生活習慣病をもっている、よく眠れない、ジムに通う時間がない、ウォーキングの効果が実感できない、こんな方はぜひインターバル速歩を試してみてください。